後ずさりしながらドミニオン

Nous entrons dans Dominion à reculons.

ドミニオン海外記事翻訳:Freaky, Guide to Engines

こないだから海外コミュニティ内でドミニオンストラテジーブログの執筆が再開しまして、おもしろそうな記事を翻訳してみようかと思います。今回はドミニオンオンライン1位でDOC2019優勝者Freakyの、エンジン――日本語コミュニティでいうコンボ――構築ガイドです。

おもしろいのは2019日本チャンプのチャーシューさんの構築論と被るところがあることですかね。オチもついているので最後まで読んでもらえると嬉しい。

 

 


 

エンジン構築案内
著:フリーキー*1

 

この記事では僕が去年1年間エンジンを回すときに使ってきた基本方針を振り返ってみたい。できるだけ広く適用可能なままにしておきたいので、個別のサプライを取りあげることはしないでおく。

以下に挙げるトピックを取り扱う。

  • サプライを評価する
  • 初手
  • ドローこそ最良の成長力なり
  • シャッフル調整

サプライを評価する

並みはそのサプライでデッキの最終形がどんな形になるか思い描くところからはじめるだろうが、実を言うと僕はこのアプローチをあまり評価していない。むしろサプライを前にしてまっさきにやるのは「パワカ」探しで、絶対、いや普通は5コストのカードだ。弱いカードを使う楽しさはありえても、圧倒的多数のサプライでは勝利に貢献しないだろう。

とりたいカードがわかったら次のステップはサポートカード探しだ。ターミナルアクションには村がほしい、成長力となるカードの支えにはドローがほしい、そういうことだ。どうすればこういったカードを使いたいだけたくさん素早く使用できるかと自分の頭をひねってみよう。ならばと序盤の加速装置を探しだしてようやく、初手決めに移ることができる。

初手

初手パワカで入れるのならそうしたらいい。できないなら、どうやって取るか見定めよう。銀貨を恐れてはいけない。銀貨が言いたい放題嫌われるのはよくわかるが、初手としてはデッキのコントロール掌握後と同じく申し分ないカードである。回転を阻害しないカード(普通は追加効果付きキャントリップ)で入ると、持っているカードの使用速度を上げながらパワカの購入機会も失わない(密猟者や金物商などを見よ)。かなめのカードが5コスト以上なら、おそい廃棄カードで入るのは論外。5コストで廃棄するほうが強いのに採集者や神殿などで入らないということだ。強いカードが4コスト以下で手に入るなら、本当に欲しいそのカードより獲得役カードで入るかどうかよくよく考えるように。特に4コストの工房系だ!強カードがない、あるいは活躍させるために先に十分なデッキのコントロールが必要となるパワカなら(ドンピシャな例:総督)、廃棄役で入るのが最善になる。

初手候補の廃棄役が使用時に金量を生まないときは2コストの強さを勘案することが重要になる。2コストが強いほど、廃棄を行った後に購入までできるおかげで廃棄役がますます強くなり、そのターン他の行動がしにくい弊害を相当緩和できる。

おおまかな初手の優先順位は

  • 徴募官や船着場などのパワカを取るために、出すべき金量に届かせるためのカード。
  • 複数枚廃棄可能な廃棄役。特に強い2コストがあるとき。
  • 4コストが役立つときの工房系。
  • 1枚廃棄役で金量維持も見込めるカード(がらくたなど)。
  • 1枚廃棄役

ドローこそ最良の成長力なり

エンジンを回すとき、ドローは友だちどころか生命線ですらある。ドローがなければ成長力として最高クラスのどんなカードもデッキ1周で1回使用するのがやっとになる。ドローは純粋な成長力カードと同様望みの金量へ届かせるだけでなく、成長力をもっとはやく使いまわし、引ける時をながなが待った末に底らせてしまうリスクを減らしてくれる。

成長力カードが香具師のような強アタックでないなら、まず注力すべきはドローであり成長力は二の次だ。

シャッフル調整

重要なトピックでおそらくすべては扱えないので、基本中の基本となる原則に絞って論じてみたい。シャッフル調整を二つの異なるカテゴリに分けてみよう。一つは状況に応じた過剰ターミナル〔分割管理〕、もう一つは次周第一の原理だ。

状況に応じた過剰ターミナル

これはだいたいどんな対戦でも、特に序盤数ターンで出てくる。ターミナルアクションの1枚を、デッキの底多くても4枚というところに沈ませる状況だ。つまり次ターンの手札にはこの沈んだターミナルとデッキトップで引いたカードが来るので、ここでもう1枚ターミナルを追加しても底ったターミナルと被る可能性はずっと低い。起こるとすれば追加したほうを捨て札シャッフル後のデッキトップで引いてきてしまう場合だけ。考慮しておくとターミナルを多く入れてデッキを回せるようになるので、うまく使えば悪い引きからたて直したり、時には圧倒的アドをも得られるようになる。

この原則はターミナルのドローカード使用時のシャッフルでも応用可能だ。初手仮面舞踏会-キャントリップや仮面舞踏会-プロジェクトはよく知られている。3ターン目に仮面を引かなければ4ターン目に使用してシャッフルが起き、新しいデッキからちょうど1枚ドローする。3ターン目にターミナルアクションを購入しても(たいてい仮面舞踏会2枚目)このドローで引くことはまずない。つまり4ターン目に仮面を使用でき、3ターン目に購入した*2仮面を引いてしまう可能性は低いというわけだ。

次周第一の原理

このアプローチはゲーム終盤がどうなるかという大きな想定図を無視してシャッフル直後のことだけに着目しようとするもので、獲得するカードが決まり、おおむね次の周回だけを気にした選択を可能にする。そんな単純化が許されるのはドミニオンがまさしく雪玉式に大きくなる拡大再生産のゲームだからである。今取るアドが先々のずっと大きなアドを生み、今成長に必要なものだけに集中していれば、最終形をみているくせにはるか遠回りになる選択を大きく減らせる。

これは三山や属州枯れが差し迫る前にしか使えず、デッキの構築段階で加速を得るためにある。

結論

要約すると、僕のアプローチでは最終的なデッキで何をしたいかという思考に費やす時間を減らし、その時その時にベストなデッキの使い方をよく考えていく。最終的なゴール如何よりもいちいちのシャッフルが獲得物の選択にどれくらい影響するかを考えている。忘れるなかれ、これは何万何千と対戦を重ねた末に会得したもので、ある種の直観を十二分にはたらかせてこそ真価を発揮するのである。

 

*1:Freaky, "Guide to Engines", Dominion Strategy Blog, 9 March 2021 [accessed 22 April 2021].

*2:原文you played T3はyou bought T3の誤記か。