後ずさりしながらドミニオン

Nous entrons dans Dominion à reculons.

セイレーンを廃棄しないための裏技ルール談義

Plunder発売直後の話題なのに3月まで何してたんだって言われたらOxygen Not Includedの沼にはまっていましたGPの準備とかしてました。あけましておめでとうございます。GPおつかれさまでした。

 

セイレーンで「ズル」するためのルール上のポイントを見てみよう。

 

 

 

ズルとは

通常セイレーンは獲得時に手札のアクションを廃棄しないと自分のデッキに保持できません。でも、これをすり抜ける手順があります。

 

プレビューでこう書きました。

望楼を使った門番アタック回避を思い出してほしいのですが、セイレーンも他の獲得時効果で先に動かしちゃえば移動阻止ルールがはたらいてなにも廃棄せずに済むという抜け道があります。

 

見かけた疑問

「ズルできるパターンがわからない」

「操舵手でセイレーンを獲得したときは廃棄しなくてもいい? 」

 

残念! 操舵手ではセイレーンを廃棄しなくてはいけません。操舵手の代わりに武器庫でも職人でも免れません。

 

いろいろルール理解が難しいポイントはあるけど、操舵手が出てくるということは、「他の獲得時効果で」と書いたところにつまづいたんだと思う。ここを掘り下げましょう。

 

セイレーンの”獲得時効果”とは

前提として、セイレーンは獲得のキャンセルでも獲得先の廃棄置き場への置換でもないことを確認しておきます。「廃棄置き場に獲得」ってさすがに英語でも日本語でも意味わからんと思うから、いいよね?

 

獲得先から自身を廃棄するということで、獲得自体は終えている。一般に、獲得時効果というのは「~獲得したとき、Xする」―― when gain, do Xという雛型で、前半部=誘発条件を満たすと発生し、獲得先に到着してから解決します*1

 

誘発とは、割り込みだ

解決のころにはすでに獲得済みなのはいいとして、獲得の処理に続いていろいろ書いてあるカードがありますよね。例えば、召喚とか*2。召喚でズルはできるんでしょうか?

 

できません。というのも獲得時効果というのは、誘発すると決まったらそこで進行中の事柄に割り込んできます。獲得役の解決の続きより、セイレーンのほうが優先されるというわけ。

 

操舵手で獲得した例に戻ると、実行してたゲーム進行=操舵手というカードの効果解決に対して、セイレーンが割り込みます。

操舵手は史上2例目の脇への獲得で、「捨て札へ獲得して、脇に置く」なのか「脇に直接獲得する」なのか謎かもしれないけど(後者が正しい)、あまり関係ありません。前者なら捨て札へ獲得→脇に置くのあいだでセイレーンを廃棄するし、後者なら脇から廃棄します。

 

誘発が割り込みだっていうのは、獲得時効果が本格的に扱われた『異郷』より、廃棄時効果に光が当たった『暗黒時代』のルールブックで説明されています。廃棄役のほうが廃棄に別の処理が続くことが多かったのかなと*3

せっかくだから寄り道するね。日本選手権において弟子で封土を廃棄したときの銀貨獲得とドローの順番を確認した話をするルネさん(2回目の優勝のときですね!)。封土の廃棄時効果が弟子の処理のあいだに割り込む、ということ。

 

www.youtube.com

 

以上、セイレーンとその獲得手段の関係はわかりました。じゃあ獲得時にセイレーンより先に解決して動かすことができるのは?

 

他の獲得時効果は”同時”だから選べる

同時発生した他の獲得時効果ならいける。物事の同時発生のルール。

 

とりあえず自分がターンプレイヤーかつ相手に何も効果が誘発していないと仮定して、後半です。

英語の金言カレンダーがあったらルールブックのこの部分すべて載せたい。

 

じゃ、ズルするか

というわけでそういう獲得時効果を探してみましょう*4

 

動かす方法はいろいろある……この数年でほんとに増えた。結果的に手放す「廃棄する」や「サプライに戻す」を除いて大枠

  1. デッキの上に置く
  2. 手札に加える
  3. 使用する
  4. 脇に置く
  5. シャッフルを起こしてデッキに巻き込む

といったところでしょうか。

 

1~5どれもありますが、カードリスト見ながら挙げてっても抜けありそうだしめんどいので列挙しなくてもいいよね。最近のやつだけ見てみます。

 

遊牧民

獲得時1ドローでT2終わりにシャッフルを入れよう! ド曰くテストプレイの際にTGG版のハードAIがやった技だという。かずまるさんもやってた。自分で見つけられるのってすごい。

パターンとしては5。牧羊犬の連鎖でシャッフルを入れるとかも同様。

 

大急ぎの特性

プレビュー2日目、特性自体が初公開なのにセイレーンと同時発表されるところだったらしい(ズルすぎて即別のものに置きかわった)。4のパターンはこれだけ(のはず)と貨物船があります。

 

1は玉璽系、2はそり、3は都市国家とかです。

 

変な手順を探してみますか。デッキトップに獲得し、さらに上に別のものを積むとか。

 

武器庫で獲得(ここまでの説明どおり、これだけじゃズルにならない)*5

鷹匠リアクション

鷹匠で獲得したカードを望楼でtopdeck*6

 

終わりに

こうして移動不可になる事例を探しはじめたんですが、過去の裁定に対してオンラインの挙動で怪しいのが出てきたので次の記事のテーマにしようかな。ドミニオンのことを考えないとドミニオンの記事は書けないわ。

 

以上、解答解説でした。『略奪』日本語版発売間近! ルールブックのFAQにはこの処理が手短かに説明されているのですが、ちゃんと訳されているといいね。

 

じゃの。

 

ところで

この記事はOKPさん主催のドミニオンアドベント(?)カレンダーの3月4日分です(ドミニオンカレンダー / #ドミカレ でよくないか?)。スプレッドシートに名前を入れるだけ、界隈で毎日ドミニオンの記事を書こう。アドベントカレンダーのシステムは使いやすいのだけど12月用ばかりだから、通年で利用できるサイトに心当たりがある人はOKPさんに伝えてみてほしい。

 

書くといったテーマですらほったらかしで書けないからこういう企画助かる。月2くらいは書きたいという願望だけあります。がんばりたい。

docs.google.com

 

 

*1:日本語だと国境の村みたく「このカードを獲得したとき」の効果だけを獲得時効果と呼ぶ気がしますが、英語だとギルドマスターや貸し馬屋で予約生成―set up―したカード獲得時の効果もまとめてwhen-gain abilityなどというし、この記事でもそのような広い意味で使っています。そして、これと区別するために、鉄工所みたいに獲得が付随する追加効果を持っていてもそれを「獲得時効果」と呼ぶのはなるべく避けています。まあ、ポリシーです。

*2:脇への直接獲得である操舵手に対して、召喚は捨て札に獲得→脇に移動という二段階処理で異なるんだけど、この違いは今回関係ないよという話をしていきます。

*3:誘発 / 割り込みで史上もっとも混乱を生んでるのは司祭+下水道です。間違いない。それ以前は、追加ターンかな?

*4:この記事の射程外ですが追放ギミックでそもそも獲得せず手に入れるというのもある。

*5:なお、これに直接望楼をリアクションして「山札の上に置き(直し)ます」というのは移動していない。『堀無限公開』を見て。[ドミニオン]デッキの一番上に向かって獲得されたカードに対して《望楼》を公開するとどうなるか

*6:なお、これを別の鷹匠リアクション(ハツカネズミの習性(家臣))でどけてもセイレーンはすでに移動阻止ルール適用済で、廃棄できない。