後ずさりしながらドミニオン

Nous entrons dans Dominion à reculons.

遊牧民の野営地の獲得先に関するルール変更

 1年以上前の変更ですが、知らなかった上に幽霊街の登場で言及されることが増えたのでまとめました。2017年10月末現在のルール・裁定。

  • 獲得時効果ではない。(既知)
  • 自身の能力で指定された場所に直接置くように獲得する。(既知)
  • 行き先変更指示のある能力(例えば、変容や工匠)で獲得する場合は指定された場所が上書きoverwrite / overrideされ、変更先に直接置くように獲得する。つまり、二つの行き先の間でプレイヤーが選択することはできない。(新規の裁定変更)

ここから先は出典と関連ルールのメモ。長くなってしまった。

 

カードテクストの確認

遊牧民の野営地の旧テクストは、問題とする分割線下部だけ抜き出すと

When you gain this, put it on top of your deck.
〔このカードは、獲得したときにあなたのデッキの上に置く。〕

ですが、ドミニオンオンラインおよび2016年末に出た異郷英語版第2版では文言が修正されています。

This is gained onto your deck (instead of to your discard pile).
〔このカードは、捨て札置き場ではなく、山札の上に獲得する。〕

さらにNocturneで発表された幽霊街 (Ghost Town)は同様のテクスト形式を持ちます。

This is gained to your hand (instead of your discard pile).
〔このカードは、捨て札置き場ではなく、手札に獲得する。〕

変更点――行き先は強制的に上書きされる

まずDominionStrategyフォーラムでのドナルドの説明。

わたしは―ステフへのPMの中で―遊牧民の野営地の〔分割線下部の〕効果は他のどんな効果によっても「打ち負かされる」よう裁定を下した。変容で遊牧民の野営地を獲得すると、それはあなたの手札に行く。思うに、遊牧民の野営地にしかこの裁定は問題にならないだろう。他にもそれ自体はカードを獲得しないが獲得されたカードの行き先に影響を与える方法〔望楼など〕はあるが、それは獲得されたカードが捨て札などを訪問した後に起こることであるし、当然ながら、たった一つの効果でしか獲得を生じさせることはできないのだから*1

ステフ(ドミニオンオンラインの現運営者)への私信で決められても……。帝国や基本・陰謀第2版でのテクスト洗練作業、ドミニオンオンラインの運営移行作業の頃でしょう。オンラインで「消息不明」ルールを厳密に適用するための措置であるようにも見えます。

これだけでも遊ぶ上では問題ありませんが、別のスレッドでのステフの発言を使うと説明しやすくなると思います。ドミニオンオンラインのサポートでもステフは同様の説明をしています。

ドミニオンのカードにはあるプロパティ、すなわち既定獲得先default gain locationがある。全てのドミニオンのカードについてこれはあなたの捨て札置き場であるが、遊牧民の野営地については例外で、自分自身を山札の上に置く。獲得する効果はたいてい既定獲得先を使うだけだが、中にはそれを上書きするものもある*2

 ルールブックの「(置く場所の指定がないかぎり)自分の捨て札置き場に置」くという記述と、遊牧民の野営地のテクストをまとめてこう言っているわけです。

これにより、具体的には

  • 陶芸家、変容(行き先変更:手札)で遊牧民の野営地(既定獲得先:山札の上)を獲得→手札に
  • 工匠、開発、武器庫、廃棄置き場からの墓暴き(行き先変更:山札の上)で幽霊街(既定獲得先:手札)獲得→山札の上に

置きます。選択の余地はありません。幽霊街を手札に入れたかったのに!となる場合が多そうです。

変更された旧来の裁定

遊牧民の野営地の行き先が行き先変更とバッティングする事例は、冒険で変容が出たときに遡ります。この際は山札の上に置くか手札に置くか、プレイヤー一人に対する複数効果の同時誘発ルールに従ってそのプレイヤーが決定することができるという裁定でした*3

既知の裁定についての再確認

遊牧民の野営地は直接山札の上に置かれます(ルールブックのFAQにある通り)。しかし、旧テクストのフレーズwhen you gain thisは獲得時効果で使われるものです。これにより誤解が生まれました。というのも

 「これを獲得するとき」はあなたがそのカードを獲得した直後に発生します。その際、その能力を解決するときには、そのカードはすでにあなたの捨て札(またはカードに指示された他の場所)にあります*4

もし遊牧民の野営地が獲得時効果であれば一度捨て札置き場を経由することになります。これでは狙った挙動にならないので裁定が下されました*5。HJ訳日本語版のカードテクストも獲得時効果と区別しようと試みてはいると思う。

「消息不明」ルールへ続く

直接指定された場所に獲得されるということは、獲得誘発の際に見失われないということです。例えば、望楼は遊牧民の野営地を見失わずにリアクションを解決できます。

行き先変更指示のある獲得能力は、捨て札置き場を経由せず変更先に直接カードを獲得します。これは非訪問ルールであり、「消息不明」を防ぎます。獲得と同時に起こる移動です。

獲得した後に起こる移動には、望楼リアクション、玉璽、移動遊園地、ヴィラ、召喚、Replaceがあります。前4つは獲得誘発ですね。

ヴィラの分割線下部は獲得時効果。どーして統一しなかったのか。

召喚はカードを獲得し、その後、移動する(テクスト該当部が2文に分かれていることに注意)。遊牧民の野営地は直接山札の上に獲得され、見失われないので、その後、召喚で脇に置かれる*6

Replaceもこれまた行き先変更の特殊事例である(テクスト該当部が2文に分かれていることに注意)。陰謀第二版ルールブックにあるように、獲得したカードは捨て札置き場(既定獲得先)に一度置かれる。遊牧民の野営地を獲得した場合、遊牧民の野営地を既定獲得先である山札の上に置き、Replaceの能力解決を続ける。Replaceは遊牧民の野営地を見失うことはない(が、山札の上に既にあるので移動させることはない)[2017年11月19日記事の趣旨に合わせ遊牧民の野営地について追記]。次の記事で取り上げたいかな。

 

*1:http://forum.dominionstrategy.com/index.php?topic=15541.msg603985#msg603985 [2016年5月27日の投稿。2017年10月30日閲覧]

*2:Multiply modified gain [2016年11月21日の投稿。2017年10月30日閲覧]

*3:http://forum.dominionstrategy.com/index.php?topic=12871.msg477633#msg477633 [2015年4月1日の投稿。2017年10月30日閲覧]
ひらくさんの翻訳紹介も参照のこと。「[ドミニオン]《変容》で《遊牧民の野営地》を獲得するとどこに行く?」『堀無限公開』[2017年10月30日閲覧]

*4:異郷ルールブックより。

*5:この辺りの混乱はBGGの次のスレッドなどに見られるhttps://boardgamegeek.com/article/8163839#8163839 [2017年10月30日閲覧]。ちなみに、FAQの記述自体は異郷英語版第二版ルールブックになっても変更されていない。

*6:さらに望楼も関与させたケースを含めて、ひらくさんの翻訳紹介を参照のこと「[ドミニオン]《召喚》で《遊牧民の野営地》や《宿屋》を獲得したらどうなるか」「[ドミニオン]デッキの一番上に向かって獲得されたカードに対して《望楼》を公開するとどうなるか」『堀無限公開』[2017年10月30日閲覧]